第2編 いろんなビジネス
第二編 商行為
第9章 預かって保管する仕事
第九章 寄託
第3編 海で商い
第2編 第8章 運ぶ仕事
第1節 この章全体にいえること第一節 総則
プロとして預かる
- 第595条
- 預かり賃を受け取っていなくても、ビジネスの一環として何かを預かったら、プロとして仕事を引き受けるのと同じ高い意識をもって預からなければなりません。
“プロとして仕事を引き受けるのと同じ高い意識をもつ”ことを、《善良な管理者の注意》といいます。
原文
お客様の荷物を預かったら
- 第596条
- ホテルや飲食店、公衆浴場などお客様が訪れる場所で、お客様の荷物をお預かりしたら、やむを得ない事情がない限り、荷物を紛失したり壊したりしたら、弁償しなければなりません。
- 2
- 特に預かったという場合でなくても、店側の不注意のためにお客様の荷物が失くなったり、壊れたりしてしまったら、弁償しなければなりません。
- 3
- 「お客様の荷物にトラブルがあっても責任を負いません」などの表示をしても、お店側は責任から逃れられるわけではありません。
原文
貴重品を預かる場合でも
- 第597条
- 財布や貴重品を店が預かる場合、財布の中身の金額や貴重品の内容を客がきちんと伝えてくれていなければ、返せなくなっても財布の中身や貴重品のことまで損害の賠償の対象とする必要はありません。
原文
ちゃんと返してもらえなかった荷物に対する賠償の時効
- 第598条
-
預けた荷物が壊れていたり、ちゃんと返してもらえなかったことに対して損害賠償の請求が認められるのは、荷物を返してもらってから1年以内です。
預けていない荷物が店の過失で壊れたことに対して損害賠償の請求が認められるのは、荷物を持ってお客様が店を出てから1年以内です。
預けていない荷物が店の過失で失くなったことに対して損害賠償の請求が認められるのは、お客様が店を出てから1年以内です。
この1年が過ぎたら、損害賠償の請求は時効により認められなくなります。 - 2
- お客様の荷物が壊れたり失くなったことについてお店側が事情を知っていた場合、損害賠償の請求は1年で時効にはならず、民法の「債権の時効」の規定が適用されることになります。
原文
第二節 倉庫営業
倉庫営業者とは
- 第599条
- 自分の倉庫で客の所有物を保管して料金をもらうビジネスをする人を《倉庫営業者》といいます。
原文
物を預かった際に発行するのは
- 第600条
- ビジネスとして倉庫で物を預かる際に、《倉荷証券》を発行するように取り決めをしたら、依頼者に《倉荷証券》を発行してください。
《倉荷証券》は、物を預かったことを証するための《預り証》と、預けた物を担保として質に入れる際に必要となる《質入証券》の二つの証券の内容をまとめたものです。
原文
倉荷証券に書かれていること
- 第601条
- 倉荷証券には下記の事項と連番を記載し、倉庫営業者の署名や記名と押印を入れてください。
- 一
- 預かった物の種類と品質、数量、さらに荷姿の状態、荷姿での個数と単位
- 二
- 荷物を預けた人の名前や会社名
- 三
- 保管している場所
- 四
- 保管料
- 五
- 保管期間(期間が決まっている場合)
- 六
- 預かったものに保険をかけている場合は、その保険金額と保険期間、保険の受取人の名前または商号
- 七
- 証券を発行した日付と場所
原文
帳簿に記載を
- 第602条
- 倉庫営業者が倉荷証券を発行したら、帳簿に以下の事項を記載してください。
- 一
- 預かった荷物の内容や数量、荷物を預けた人や保険について
- 二
- 証券の番号と発行した日付
原文
荷物を分けて倉荷証券を再発行
- 第603条
- 自分の持っている倉荷証券を倉庫営業者に返して、預けた荷物を分割した上で、分けた荷物ごとに複数の倉荷証券を発行してもらうことができます。
- 2
- 預けた荷物を分割してもらったり、荷物ごとの倉荷証券を発行するためにかかる費用は、依頼した人が負担してください。
原文
倉荷証券と倉庫の荷物が違っていたら
- 第604条
-
倉荷証券に記載している内容と、倉庫の荷物の内容が違っていたら、倉庫営業者は倉荷証券に記載してある内容が正しいものとして対応しなければなりません。
倉荷証券を持っている人が、倉庫の荷物の内容とに違いがあることについてわかっている場合は対応の必要はありません。
原文
倉庫の荷物を移すときは
- 第605条
- 倉荷証券が発行されている以上、預かった荷物を倉庫から出すには移した内容を倉荷証券に反映させる必要があります。
原文
倉荷証券を売り渡したり
- 第606条
-
宛名が記名してある倉荷証券を売り渡したり、質に入れるときは証券に裏書きをします。
証券に裏書き禁止となっている場合は、売り渡したり、質に入れるるとやっかいなことになります。
原文
品物を引き渡す代わりに倉荷証券を
- 第607条
- 倉庫に預けた品物を他の人に引き渡す代わりに、倉荷証券を引き渡せば、受け取った人は理屈の上では品物を受けとったことになります。
原文
倉荷証券を失くしてしまったら
- 第608条
-
倉荷証券を失くしてしまった場合、倉庫営業者に再発行を請求することは可能です。
ただし、無くした倉荷証券が悪用されたり、色々手間がかかることについては失くしてしまった人の責任でなんとかしておく必要があります。
原文
倉荷証券を持っていれば
- 第609条
- 倉荷証券を持っていれば、倉庫の営業中ならいつでも自分の荷物がどうなっているかを確かめるために見本を見せてもらったり、倉庫の保管状況の改善を依頼することが認められます。
原文
倉庫の荷物に何か問題があっても
- 第610条
- 倉庫の荷物が失くなったり、壊れたりしていたら、問題なくきちんと保管をしていたこと証明できない限り、損害賠償をしなければなりません。
原文
出庫するときには保管料の支払いを
- 第611条
-
倉庫に預けた荷物を出庫するときは保管料や立替金、その他の費用を支払ってください。
倉庫に預けた荷物の一部を出庫するときは保管料や立替金、その他の費用を出庫する割合に応じて支払ってください。
原文
預かったものを返せるタイミング
- 第612条
- 保管期間を定めていない場合、やむをえない事情がない限り倉庫営業者側の都合で荷物を返すことが認められるのは最低6ヶ月以上の保管期間が必要です。
原文
倉荷証券と引き換えに
- 第613条
- 倉荷証券が発行されている場合、預けた荷物を出庫してもらうためには倉荷証券と引き換えてください。
原文
質に入れた倉荷証券で荷物の一部を出荷するには
- 第614条
-
倉荷証券を質に入れていたら、質のお金を返す前に預けた荷物の一部でも出荷してもらうためには、質屋さんの承諾が必要です。
倉荷証券が質に入れられている状態で荷物の一部を出庫したら、倉庫営業者は出荷した荷物の種類や状態、数量を倉荷証券に記載すると同時に、帳簿にも記載してください。
原文
引き取ってもらえない荷物は
- 第615条
-
預けた人も倉荷証券を持っている人も預けた荷物を引き取ってくれなかったら、その荷物を供託すれば、出庫したことが認められます。
いくら「引き取って欲しい」と伝えても引き取ってくれなかったら、その荷物を競売にかけることも認められます。
供託や競売にかけたら、そのことを引き取ってくれなかった人にすみやかに通知しなければなりません。
時間をかけては荷物が傷んだり、価値が無くなってしまうものは、通知するまでもなく競売にかけてもかまいません。
原文
引き取るときにクレームがなければ
- 第616条
-
荷物を引き取った際に、特にクレームを伝えることなく保管料を支払ったら、その荷物に関する損傷や欠品に関する責任を問うことはできなくなります。
とはいえ、引き取った際には見つけることができない損傷や欠品に関しては、引き取ってから2週間以内に倉庫営業者に対してクレームを伝えれば、責任を問うことができます。 - 2
- 倉庫営業者が荷物の損傷や欠品があることを隠していたら、2週間以内に限らず責任を問われることになります。
原文
荷物のクレームを入れてもそのまま一年経ったら
- 第617条
- 引き取った荷物の損傷や欠品に対してクレームを入れても、そのまま1年以上損害賠償をしなかったら、時効となります。
- 2
- 引き取るはずの荷物が全て消えて失くなってしまった場合、倉庫営業者から連絡を受けた日から1年以上損害賠償をしなかったら、時効となります。
- 3
- 損傷や欠品、紛失について倉庫営業者が隠していたら、1年で時効は成立しません。
原文
- 第618条〜第683条
- 削除
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