2.商行為 9.寄託

第二編 いろんなビジネス

第二編 商行為

第九章 預かって保管する仕事

第九章 寄託

第一節 この章全体にいえること
第一節 総則
プロとして預かる
第五百九十三条

預かり賃を受け取っていなくても、ビジネスの一環として何かを預かったら、プロとして仕事を引き受けるのと同じ高い意識をもって預からなければなりません。
“プロとして仕事を引き受けるのと同じ高い意識をもつ”ことを、《善良ナル管理者ノ注意》といいます。
原文
お客様の荷物を預かったら
第五百九十四条

ホテルや飲食店、公衆浴場などお客様が訪れる場所で、お客様の荷物を預ることがあれば、やむを得ない事情がない限り、預かった荷物を紛失したり壊れたりしたら、その弁償しなければなりません。
2

特に預かったという場合でなくても、第一項のような場所において店側の不注意のせいでお客様の手荷物が紛失したり壊れたりしたら、その弁償をしなければなりません。
3

お店の中に「お客様の荷物にトラブルがあっても責任を負いません」などと表示をしたからといっても、第一項や第二項のケースでは責任から逃れられるわけではありません。
原文
貴重品を預かる場合でも
第五百九十五条

財布や貴重品を店が預かる場合、中に入っている金額や貴重品の内容を客がきちんと伝えてくれなければ、預かったものを返せなくなったとしても、中に入っているお金や貴重品のことまで損害の賠償の対象とする必要はありません。
原文
ちゃんと返してもらえなかった荷物に対する賠償の時効
第五百九十六条

預かった荷物が壊れていたり、ちゃんと返してもらえなかったために、時効前に店に損害賠償ができるのは、荷物を返してもらってから一年以内です。

荷物を預けなかった場合なら、時効前に店に損害賠償ができるのは、店から荷物を持ち帰ってから一年以内です。
2

預けた荷物を紛失された場合、時効前に店に損害賠償ができるのは、客が店から立ち去ってから一年以内です。
3

どうして荷物が壊れたり、紛失したのかについて店側がわかっていたならば、時効によって損害賠償を一年で迎えるということにはなりません。
原文
第二節 倉庫を貸して稼ぐには
第二節 倉庫営業
倉庫業者とは
第五百九十七条

自分の倉庫で客の所有物を保管させて料金をもらうビジネスをする人を《倉庫業者》といいます。
原文
物を預かった際に発行するのは
第五百九十八条

ビジネスとして倉庫で物を預かる際に、物を預かったことを証するための《預り証》と預けた物を担保として質に入れる際に必要となる《質入証券》の二つの証券を発行するように取り決めをしたら、依頼者にその二種類の証券を発行してください。。
原文
預り証や質入証券に記載する事項
第五百九十九条

預り証や質入証券には下記の時効を記載し、連番と倉庫業者の署名を入れてください。
 一

預かった物の種類と品質そして数量、さらに荷姿の状態とその個数と単位
 二

荷物を預けた人の名前や商号
 三

保管している場所
 四

保管料
 五

保管期間(期間が決まっている場合)
 六

預かったものに保険をかけている場合は、その保険金額と保険期間、保険の受取人の名前または商号
 七

証券を作成した日付と場所
原文
帳簿にも記載を
第六百条

倉庫を運営している業者は、預り証や質入証券を発行したら、業務用の帳簿に以下の事項を記載しておくことが必要です。
 一

第五百九十九条にある、荷物の内容や数量、荷物を預けた人や保険について
 二

証券の番号と作成した日付
原文
荷物を分けて預り証を再発行
第六百一条

預り証や質入証券を持つ人は、預けた物を複数の場所に分割して保管するように依頼することができます。

分割して保管した場合には、預り証や質入証券も分割した状態で発行するように依頼することもできます。

預り証や質入証券を分割して発行してもらったら、引き換えに持っていた預り証や質入証券を倉庫の運営者に返還しなければなりません。
2

保管している物を分割したり、預り証などを再発行するためにかかる費用は、再発行を依頼した人が負担してください。
原文
(保管の仕方)
第六百二条

預かっている物の保管の仕方は預り証や質入証券を持っている人と倉庫の業者との間で取り決めてください。
原文
証券を譲渡するには
第六百三条

所有者の名前の記入欄がある預り証や質入証券を他人に譲渡する場合は、書類の裏に次の所有者の名前を記入してください。

ただし、預り証や質入証券を他人に譲り渡すことを禁止したい場合は、《裏書》を禁止することを書面に書き込むことができます。
2

預り証を持っている人は預けている物を質に入れて担保にすることができますが、質入れをしていないければこの証券を譲渡する場合は、必ずこの二つの証券をセットで譲渡してください。
“書類の裏に次の所有者の名前を記入する”ことを《裏書》といいます。
原文
引換証と同じ扱い
第六百四条

運送業に関する、引換証を持っていない人が荷物を処分することを禁止する規定(第五百七十三条)と、引換証を持っている人に所有権があるとされる規定(第五百七十五条)については、倉庫の営業の場合も同じように適用します。
原文
預り証や質入証券を紛失したら
第六百五条

もし預り証や質入証券を紛失してしまったら、再交付をしてもらうにはそれ相応の担保を倉庫業者に提供しなければなりません。

このようなケースで証書を再発行したら、きちんと業者の帳簿に記載しておくことも必要となります。
原文
質入証券には
第六百六条

初めて質入証券を使う場合は、債権額と利息そして返済期限を質入証券の裏書として記載してください。
2

倉庫に預けた物が間違いなく質入れされたことを証するためには、預り証に質入証券に記載した内容と質を受け入れた人の署名が必要です。
原文
預り証に記載された金額
第六百七条

預り証と引き換えに預けたものを受け取る際には、預り証に記載された金額とその利息を支払わなければなりません。
原文
質入証券は倉庫の事務所で
第六百八条

質入証券に対する質の代金は、倉庫を運営している業者の事務所で行ってください。
原文
質入証券の支払いが受けられなかったら
第六百九条

支払時期が来たので質入証券に対する支払いを受けようとしたのに支払ってもらえなかった場合、なんとかしてもらうためには、手形に関する法律の規定に従い拒絶証書を発行してもらうことになります。
手形や質入証券に対する支払いを受けられなかったことを公証人などで発行してもらう証明書を《拒絶証書》といいます。
原文
拒絶証書が発行されたら
第六百十条

拒絶証書が発行されてから一週間が経過したら、質入した物を競売にかけることが認められます。
原文
競売をしたら
第六百十一条

保管している物が競売にかけて実際にお金に変わっても、全額を質入証券を持ってきた人に支払う必要はなく、次の費用の分のお金を倉庫業者側が差し引くことが認められます。
  • 競売のためにかかった経費
  • 実際に納めた物に関わる税金
  • 実際の保管料や保管に関わる費用
  • 立て替えていたお金
2

前項であげられた費用の他に、質入証券を持っている人に対する債権の金額、利息、拒絶証書を作成するための費用を差し引いてもまだ競売で得たお金に余りがあれば、それは預り証を持っている人に支払わなければなりません。
原文
競売にかけても
第六百十二条

預かった物を競売にかけても手に入ったお金が質入証券に記載された額に満たない場合、まずそのお金を質入証券を持ってきた人に支払います。

次に支払った金額を質入証券に記載して持ってきた人に返します。

そしてそのことを自分のところの帳簿にも記載しておきます。
原文
質入証券に対する請求
第六百十三条

質入証券を換金するにはまず預けた物に対してお金を受け取ることができます。

しかしこれによって得られたお金が本来の額面に対して不足する場合は、質入証券の裏書きをした人に対して不足額を請求することが認められます。
2

質入証券に関して不足額が出た場合、手形法の次の条文を同じように適用することとします。
  • 支払拒絶に関する通知の規定(手形法第四十五条第一項、第三項、第五項、第六項)
  • 遡求権による支払い請求に関する規定(手形法第四十八条第一項)
  • 為替手形の受戻しに対する請求に関する規定(手形法第四十九条)
  • 遡求を受けた手形債務者らに関する規定(手形法第五十条第一項)
3

質入証券の不足額を請求される側と請求する側とでお店や住所が遠く離れている場合にどこの為替相場をベースにするかについては、手形法第五十二条第三項の規定を同じように適用してこれを決めてください。
原文
裏書人に請求できなくなるのは
第六百十四条

弁済期になっても質入証券の支払いを受けられない場合に拒絶証券を作ってもらおうとしなかった場合や、拒絶証券を作ったのに二週間以内に預けた物を競売にかけるように要請をしなかった場合は、質入証券に裏書きで名前を書かれた人に対して支払いの請求をする権利を失います。
原文
質入証券の時効
第六百十五条

所持している質入証券の弁済の時期たきたら、それから一年間は額面の請求を預り証を持っている人に対して行うことが認められます。

預けた物を返してもらった日から六ヶ月間は額面の請求を質入証券に裏書きをしている人に対して行うことが認められます。

裏書きをしている人が請求分の支払いをした日から六ヶ月間は該当する金額の請求を預り証を持っている人に行うことが認められます。

それぞれの時期が過ぎたら時効となって請求はできなくなります。
原文
点検などを要請できるのは
第六百十六条

倉庫の営業時間内に物を預けた人や預り証券を所持している人が来て、預けた物の点検や見本の取り出しを要請されたら、必ず応じなければなりません。

倉庫の営業時間内に物を預けた人や預り証券を所持している人が来て、預けた物を保管しつづけるために必要な処置を要請された場合も、対応しなければなりません。
2

倉庫の営業時間内に質入証券を所持している人が来て、預けた物の点検を要請されたら、必ず応じなければなりません。
原文
損害賠償を負う場合
第六百十七条

預けた物が失くなってしまった場合や壊れてしまった場合は、十分注意を払って保管していたことが証明できないと、倉庫を営業している側はその損害賠償をしなければなりません。
原文
保管料などの請求は
第六百十八条

倉庫業者が預けた物に対する保管料や立替金などの請求ができるのは、出庫する時だけです。

預かった物の一部を出庫した場合、その割合に応じて保管料や立替金などを請求してもかまいません。
原文
期限を決めていなければ
第六百十九条

特に期限を決めていない場合、少なくとも六ヶ月間は預かった物を保管し続けなければなりません。

とはいえやむを得ない事情があれば、六ヶ月以内でも保管を中止して預かった物を持ち主に返すことが認められます。
原文
預けた物を返してもらうためには
第六百二十条

預けた物を返してもらうためには、預り証と質入証券を発行していたならば、必ずその両方と引き換えにする必要があります。
原文
質入証券の支払時期前でも
第六百二十一条

預り証券を持っている人からの要請であれば、質入証券の支払い時期が来る前でもその債権金額と本来の支払時期までの利息の金額を倉庫業作に供託したら、預けた物を返してもらうことができます。
原文
ものによっては一部を返してもらうことも
第六百二十二条

預り証があって、預けた物が唯一無二でなく同じ物で分割することができる場合は、債権額の全額を容易できなくても、債権の一部の金額と弁済時期までの利息を供託すれば、額面に対する金額の割合に応じて預けた物を返してもらうことが認められます。

預かった物の一部を返した倉庫業者はどれだけの数量を返したのかを預り証券に記載し、帳簿にもその内容を記録しておく必要があります。
2

預かった物を出庫するためにかかる費用は、一部を返せといってきた預り証の持ち主に負担してもらうことになります。
原文
一部が返還された場合の質入証券
第六百二十三条

預けた物の一部が返還されてしまった場合、質入証券を持っている人に対する債権は供託金によってまかなわれます。
2

競売にかけられた場合の支払い方法の規定(第六百十二条)は、一部が変換された場合の供託金の支払いについても同じように適用します。
原文
預けた物を引き取ろうとしない場合
第六百二十四条

預けた人も、預り証券を持っている人も、預けた物を引き取ろうとしない場合は、売買で商品を受け取ってくれない場合の規定(第五百二十四条)を同じように適用し、どうしても受け取ってくれなければ競売にかけて処分することが認められます。

競売で得られたお金は供託することになりますが、質入証券を持っている人にはそのお金で支払いをすることになります。
2

競売で得られたお金を質入証券を持っている人に支払う場合は、競売をしたらの規定(第六百十一条)と競売にかけてもの規定(第六百十二条)を同じように適用し、経費や税金などの分を支払いから差し引くことが認められたり、金額に満たない場合の手順に従うことになります。
原文
倉庫業者の責任はいつまで
第六百二十五条

預かった物に対する倉庫業者の責任は、運送業者の責任がいつまで続くかの規定(第五百八十八条)を同じように適用するので、クレームをつけられることなく受け取ってもらうことが必要です。
原文
物が失くなったり、壊れた場合の時効
第六百二十六条

倉庫を出てから一年が経過したら、預かっていた物の数が足りなかったり、壊れていたりしたとしても、倉庫業者の責任は時効によって消滅します。
2

預かっていたもの全部が失くなっていたら倉庫を出すこともできなくなるので、預り証を持っている人に対して物が失くなったことを知らせた日から一年が経過したら、倉庫業者の責任は時効によって消滅します。

預り証を持っている人が誰かわからない場合は、物を預けた人に物が失くなったことを知らせた日から、ということになります。
3

もし倉庫業者が数が減ったり全部失くなったことや、壊れたりしたことについてその理由がわかっていた場合は、一年で時効にはなりません。
原文
倉荷証券の発行
第六百二十七条

預けた人が望むなら、預り証と質入証券を発行するのではなくて、その両方の役割を一枚で行うことができる《倉荷証券》を発行してください。
2

商法上の規定としては、倉荷証券は預り証と同じ扱いとなります。
原文
倉荷証券で質入れした場合に
第六百二十八条

倉荷証券を用いて預けた物を質に入れた場合、返還時期が来る前に預けた物の一部でも倉庫から出すには、質としてお金を貸した人の承諾が必要です。

このケースで出庫できたら、倉荷証券と倉庫業者の帳簿には、何をどんな状態でどれだけ出庫したのかを記載しておく必要があります。
原文
第六百二十九条〜第六百八十三条

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